経営者保証の有無を「事業者が選択できる」制度が始まりました
2024年3月15日から信用保証協会の「事業者選択型経営者保証非提供制度」が始まりました。
本制度を利用すると「保証料を上乗せすることで経営者保証が不要」となります。
【本制度の詳細】
<概要>
「事業者選択型経営者保証非提供制度」とは、信用保証協会が2024年3月15日から新しく始めた「保証料を上乗せすることで経営者保証が不要になる」制度のことです。
<利用条件>
次の(1)~(5)をすべて満たす法人(※1)
(1)過去2年間、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること
(2)直前決算において、代表者等への貸付金その他の金銭債権がなく、かつ代表者への役員報酬、賞与、配当その他の金銭の支払が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと
(3)次の両方又はいずれかを満たすこと
①直前決算において債務超過でない(※2)
②直前2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字でない(※3)
(4)次の①及び②について継続的に充足することを誓約する書面を提出していること
① 保証申込後においても、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出すること
② 保証申込日を含む事業年度以降の決算において代表者への貸付金等がなく、役員報酬等が社会通念上適切な範囲を超えていないこと
(5)保証料率の引上げを条件として保証人の保証を提供しないことを希望していること
※1 法人の設立後最初の事業年度(設立事業年度)の決算がない法人の場合、(1)、(2)及び(3)は問いません。設立事業年度の次の事業年度の決算がない法人の場合 (3)は問いません。
※2 貸借対照表において「純資産の額≧0」となること。
※3 損益計算書において「経常利益+減価償却≧0」となること
<上乗せする保証料>
利用条件(3)①及び②の両方を満たす場合
各信用保証協会所定の保証料率に0.25%上乗せ
利用条件(3)①又は②のいずれか一方を満たす場合、又は法人の設立後2事業年度の決算がない場合
各信用保証協会所定の保証料率に0.45%上乗せ
【ポイント・注意点】
- 法人が対象(個人事業主は対象外)
- 役員報酬などが社会通念上相当と認められる額を超えるかどうかは個別に判断(金額のみで判断するわけではない)
- 債務超過かどうかは決算書の数字ではなく実態で評価される可能性がある
- 法人設立後2期未満でも対象(創業融資の方が有利な場合もある)
- 新規融資(借換も含む)が対象(既存融資の経営者保証解除も検討可)
- 経営者保証を解除する条件はこれまでより大幅に緩和
- 保証協会が本制度の利用を認めても銀行が認めない可能性もある(保証協会は銀行の意向に従う)
- 融資の審査は通常通り行う(厳しくなる可能性もある)
- 利用条件を満たすかどうか確認しておくことが重要(利用するかどうかは別問題)
【まとめ】
本制度を利用すると「保証料を上乗せすることで経営者保証が不要」となるため、まずは自社が本制度の利用条件を満たしているかどうか確認することをお勧めします。
利用条件を満たしていれば新規融資(借換も含む)で経営者保証を解除することができますし、業績次第では条件変更で既存融資の経営者保証を解除することも可能です。
すぐに利用することが難しい場合は、将来的な経営者保証の解除を目指して将来の決算を作っていく(目標から逆算して経営する)ことで、利用条件を満たす必要があります。
いずれにしても、「決算書のことはよく分からない」「税理士に任せきりになっている」という状況では、今後の対応が難しくなっていくかもしれません。
「本制度を利用できるかどうか知りたい」「今後の対応を相談したい」「融資の相談をしたい」など、気になることがある方はぜひご相談ください。
無料相談のお申込みはこちらから
https://professionalmanagergroup.com/contact/
最新コラムをメルマガにて配信中
https://d.bmb.jp/bm/p/f/tf.php?id=bm92370wr&task=regist